この世に両親がいない人はいません。
あなたの人生をさかのぼってみましょう。1世代で両親は必ず2人。10世代で2,048人の生命を受け継いできたということです。20世代になると、200万人を超えてしまいます。
あなたが生きているということは、20世代と言わず、どこまでもさかのぼることができます。つまり、あなたの生命は脈々と、先祖代々つながっている、多くのご先祖の命を受け継いでいるということです。
誰かひとり欠けたとしても、あなたがこの世に存在することはなかったでしょう。
このように考えると、毎日、どこかで多くの生命が失われていくなかで、こうして生きていられるというのは、まさに「奇跡」。
「奇跡」といえば、母親の胎内で、数億の父親の精子のなかから、百万といわれるうち1コの卵子が結びつくのも奇跡に近い確率。そして、そこにどうやって「生命」が宿るのかという謎は、未だに解明されていません。
自分という存在への「奇跡」の繋がり、自分自身では選択することのできない何かによって生かされて存在しているのだということに気づくことによって、自分にとって「かけがえのないもの」は何かを考えるきっかけになるでしょう。そして、自分自身を大切にする気持ちを強く持ちたいものです。
世界中を見渡せば、食事をできない人も、寝る場所がない人も、病院に行けない人も、学校に行けない人もいます。国によっては、戦争で亡くなる人もいます。日本だけを見ても、毎日、交通事故で亡くなる人、自殺する人、病気で亡くなる人が、何万人といます。
自分が生かされてきたことに感謝して、一日一回、ご先祖様の前で手を合わせることは、自分がいただいている時間を精一杯生きていることの証と報告なのです。
私たちは、「生きている」だけで、大きな価値がある。
その価値をどう生かしていくのかは、あなたに託されているのです。
人は、人生で大変多くの人々に出会います。
人生という時間の流れの中で、毎日、何気なく、多くの人と接していますが、このように考えてみるとどうでしょうか。
私が一生涯のうちで10人の人たちの人生を変え、その10人の人たちが他の10人の人生を変え、また他の10人の人生を変える・・・・ということになれば、4世代、つまり100年間のうちに、一人で、10万人の人生を変えることになります。8世代200年になれは、なんと10億人に影響を与えることになります。
10人と言っても、結婚すればそれだけで1人、子供ができればそれだけで2人、3人と、人生に影響を与える人数は増えていくのです。
このつながりは、時間的にだけではなく、地域的にもどんどん広がっていきます。
何かをしようとするとき、一人でできることには限界があります。
スポーツをするとき、野球であれば最低9人、バスケットボールであれば5人の仲間がいなければ試合にはなりません。個人技のスポーツであっても、相手がいなければ試合にならないのです。
仕事でも同じことが言えます。人に影響を与えない仕事など、あり得ません。
自分が何かを達成しようとするとき、真剣になればなるほど、周囲の人たちとの繋がりが生まれ、影響の輪は広がっていきます。多くの人たちと接すれば接するほど、自分にとって「かけがえのない大切なもの」の価値に気がつくようになるでしょう。
そのとき、あなたは周囲の人たちから感謝される存在になるよう、努力して下さい。感謝されることが、あなたの喜びになり、仕事の充実感になり、生き甲斐になり、成功したと感じることができるでしょう。
先祖との繋がりは、あなた自身につながる「過去」の系譜ですが、他者との繋がりは、多くの人たちを通じて、人類の「未来」につながっていきます。