《図書館が好きになったのは、高知に行った小学校の頃から。毎日のように市民プールに泳ぎに行って、帰りがけに図書館によって、本を借りていました。市民図書館の真ん中の大きな机の上にマンガ本が山積みしてあって、読み放題だったから。借りていた本は、ルパン、ホームズ、SF小説、冒険物、伝記などマンガの延長線上のようなもの。
とにかく面白くて、一晩で1冊読んで、次の日に借りる本のストーリーが楽しみで、ワクワクしていました。だんだんジャンルは広がっていきましたが、略奪美術の話は、戦争や国際情勢の動きの中に、美術品にかける情熱や人間関係、裏社会が描かれていて、推理小説のように面白い読みものだった覚えがあります。
今、小さいが練馬区と西東京市、2つの図書館が家から徒歩5分ほどのところにあって利用でき、ネットで20冊まで予約できるので、とても便利。電車で、図書館から借りた本を読んでいる人を見かけると、嬉しくなってしまいます。》
1人、2人は泥棒。7人~30人は盗賊。それより多いのは軍隊。ふと思い出したこのフレーズ。家内に話したら「あれ、何それ。面白いじゃない」との反応。記憶の糸をたどっていくと、どうもフランス語だったような気がしました。それもそんなに古い話ではなく、ここ10年くらいのはずです。なぜかと云うと、区立図書館を知ったのです。ラジオを聞いていて。
コラムニストの榎戸一郎さんが大変素晴らしいことを教えてくれたのです。それは図書館。彼は物書き。コラムを書いていらっしゃるのでご多分に漏れず、書斎の、本の山と資料の山のなかで書いておられました。仕事で必要なのは、本の中身全部ではなく、数行。確認のためなどだそうで。そんなこんなで自分で持っていない本を図書館に行き、調べているうちに、あるとき閃いたのだそうです。「オレの生き方は間違っている」と。そして出た答えは「図書館に本を借りに行ったり、調べたりするのではなく、図書館を自分の書斎にすれば良いのだ」。そして何をしたのかというと、自宅を図書館の前に引っ越したのです。本を整理して。図書館にない本は注文すると取り寄せてくれたり、買ってくれたりするそうです。
これを聞いて、私も閃いたと云いたいのですが、図書館という存在を知りました。歩いて10分ほどの青山1丁目にあるので大変重宝しております。港区にはなんと8カ所も図書館があるのです。そして外国の本も。
今から9年前に古い仲間、パリのコムデギルソンにいるキヨ夫妻と姉貴分の優子、そして私でそれこそ41年ぶりに会ったのです。別々には会っていたのですが、3人一緒は私が日本を出た18歳のとき以来でした。そのとき私の語学力が落ちているのを実感し、これではいけないと思い、もう一度フランス語をやろうと。それには本を読んで語彙を増やそうと。
いつも青山の(これもおかしい)青山にあるのに赤坂図書館に行ってみると、英語の本しかありませんでした。がっかりしながら図書館の方に聞くと、東京タワーの近くにあるみなと図書館にはありますと教えていただき、ありました。25冊ほど。確かそのなかの1冊がヴィクトル・ユーゴーのレ・ミゼラブル。その中の一節だったように思います。少し自信がないのですが。
なぜこの話になったのかは前壇がありました。それは家内が赤坂図書館から借りてきた『エーゲ海、青と白が誘う52島』という本を読んで「ミノス島で見つけたミロのヴィーナスもサモトラキのニケも、皆ルーブルにあるのね」と云ったのです。そこへ私が最初の「1人、2人は泥棒」が出てきたわけです。そして、ルーブル美術館はギリシャに入場料の2%ぐらいあげてもいいじゃないかと云ったのです。すると家内が「あなた、嘘はだめよ。ダメ。ミロのヴィーナスはフランスが買ったのよ」。
それは『エーゲ海、青と白が誘う52島』(JTBパブリッシング、萩野矢慶記著)より、『1820年アダマスに寄港していたフランス艦船の将校が、島の農夫から自分の畑で掘り当てたという彫像を見せられて驚いた。あまりに美しい大理石の像。それが「ミロのヴィーナス』であり、のちに像の取得権を巡り騒動が続いたが、結局トルコ駐在のフランス大使が自費で買い取って落ち着いた。像は修復後、アフロディテ像の名でルイ18世に献上され、のちにミロス島で発見されたミロのヴィーナスとしてフランスのルーブル美術館に寄贈された。』だそうです。
大英博物館も色々な物が展示してありますが、これもエジプトに2%ぐらいあげてもいいと思います。
学習院出のあるお客様がご友人に「あそこは元、オレんちだったんだぜ」と云っておられました。明治維新で取られたんだそうです。
家内が「いつも征服した者が、皆持っていってしまうでしょ」と。エーゲ海の島々も海賊に取られないようにと、山の高いところに家を構えたそうです。パリもセーヌ川をさかのぼってくるバイキングに取られないようにと城壁を巡らしました。時代は変わっても困ったものです。