《昔は、スポーツは戦技から発達したものばかりでしたが、最近は、色々な発祥のスポーツが増えてきました。

そういえば、私が広報室に勤務しているとき、陸上競技の三段跳びで長年日本記録を持っていた有名な方から電話がありました。

「最近の学生は、どうも精神力が弱い。精神力を鍛えたくても難しい。陸上競技は戦技から発達したものだから、原点に返って、学生に自衛隊を体験させたい。ついては最も厳しいと聞いているレンジャーの教育を体験させてもらえないか」。

「喜んで、出来ることは協力させて頂きます」とお答えしましたが、残念ながら、大学内での合意が得られないということで、ボツになったことがありました。

最近のスポーツは、世界各地で昔から受け継がれている伝統的な遊びから生まれたものなど、娯楽性の強いものも多くなってきました。しかし、そこで共通するのは、頂点を極めようとする人たちが能力の限界に挑戦する真剣な姿。

何かしら観ている人たちを感動させるものがあります。》

皆さん、ペタンクという遊びをご存じですか?ご存じの方はフランス通です。

何かというと、冬季オリンピックで一躍有名になったカーリングの基になった遊びで、100年ぐらい前に地中海地方、プロバンスで始まったビー玉の親分みたいな鉄の玉、重さ650g~800gのボール、boule(ブル)を木でできた小さな玉cochonnet(コショネ)通称ブタの鼻にできるだけ近く寄せる。ただそれだけ。本当に単純な遊びです。単純なだけに面白いようです。私は2回しかやったことがないので詳しくはありません。基本的なルールは両足を揃えて、投げるか転がすかのどちらかです。4~5歳になれば転がして参加できるので、フランス全土で盛んに遊んでいます。

そしてもう一つ。ペタンクプロバンサールという同じブル、同じコショネで、遠くにコショネを投げ、3段飛をして最後の一歩の片足で投げるのです。サントロッペの中央広場で盛んにやっていました。

フランスにゴルフが広まらないのは、イギリス発祥の件もあると思いますが、このペタングがあったのが大変影響していると思います。プロの大会もあります。

シムカの社長、バルビディアン氏のコルシカ島の別荘にフランスチャンピオンが来られました。そのときお話を聞きました。

何が凄いのかというと、試合会場です。会場はないのです。何処何処の駐車場とか、何処の広場などと、ゴルフ場のように整備されている会場はなく、色々な条件の下、行われるので面白いと云っておられました。さらに「上達したければ、投げるのではなく転がしてプレーしなさい。戦う戦場を知れば有利になる」でした。最後にオチが「ゴルフだって同じでしょ」でした。やはりゴルフを意識していたのかもしれません。

サントロッペの8月は世界中の金持ちが自慢のヨットで美女を侍らせて殺到します。僅か80mほどの小さな漁港だったので、ここに停泊できる船舶数は自ずと限られるのです。その結果、大変高い宿泊代になるのです。ほんの目先に近代的なヨットハーバー、サント・マキシムがあるのに男の意地なのでしょうか。毎年、値上がっていると聞きました。また、日本では見られない豪華なヨットも寄港します。

一番凄い船を見たのは、惜しくもサントロッペではなく、真反対のブロターニュの漁港、コルカルノでオーストラリアの船でした。マストの高さが優に30mは越えていたと思います。双胴船で長さも20m、いやもっとあったのかもしれません。幅は長さよりも広かったと思います。さすが海の国オーストラリア。

学生時代、リッセでオーストラリアから帰ってきた生徒と出会いました。彼曰く、ヨットは日本で云えば自転車を持っている感覚だそうで、もっとびっくりしたのは、子供たちは水上スキーをするときに、スキーを履かずに裸足で滑るのだそうです。話を元に戻します。

この金持ちたちがベタンクでお金を賭けて遊ぶのです。それも2~30万円もの現金で、これにレ・サントンにいた若いボーイが関与していたのです。この子とは云いづらいガキで、私が店に入った当初に絡んでくる始末。穏やかな私も(家内の目が、嘘を云うなと云っていますが、)面倒なので裏に呼び出しました。心配してドミニックとジルベールがついてきましたが、ご心配無用。腰を入れた前蹴り。それ以来、私の云うことを素直に聞くようになりましたが、親も困って、サントンのオーナーのジラルド氏に預けられた16歳。ただ社会的なことは一人前で、何と自分の歳の倍のブティック経営の彼女がいるのです。まぁそれはともかく、この賭けに雇われるのです。お金持ちに。一勝負3~4万円で、そして何と勝つのです。びっくり。 そしてもっとびっくりするのが、経済社会の法則、彼の値が上がるのです。本当に。レストランでは見習いで給料はそれこそ低いのですが、ペタングでの稼ぎは私たちを抜いていました。ただし、それはシーズンの7、8月だけですが、今思っても、彼は完全にヤクザになっていると思います。

https://www.saibouken.or.jp/archives/3413