ユーチューブを見ていたら、「中間管理職」という不思議なテーマが目に入り、一体、何をどういう風に議論するのか、興味が湧いてきたので、見てみることにしました。
中間管理職という言葉は聞くけれども、私にはピンとくるものがなく、これが議論の対象になる話なのかどうか、何を問題視しているのか、その意味するところや実態がよく理解できません。
ちなみに私は、陸上自衛隊で35年間、ゆうちょ銀行で8年間、マジメに勤務していましたが・・・。
まず、組織とは、必要性があって機能的に構築してできているものですから、管理をすることを目的として管理職たる人材が配置されていることが理解できません。
組織の機能発揮に必要な配置であったならば、当然、職務を遂行するのに必要な責任と権限が付与されます。もし、その役割を果たさないで済んでいるのであれば、そもそも無駄な役職(ポスト)だったのだということになります。その人がそのポストに就いていることが問題なのだというならば、その人が無能な存在だということでしかありません。
組織を動かすのに不可欠な責任と権限を果たしていない無能な人間を「中間管理職」と呼ぶのだと言うのであれば、その人を配置した者の責任であり、その人を指導することができない上司はそれ以上に無能だということになってしまいます。
管理しかしなくてよい役職を設けていて、そえが役に立っていないというならば、その役職を設けた者が悪いに決まっています。そんな役職につけられた者はいい迷惑でしかありません。
そもそも「管理」は、組織活動をするために必要な規程や制度や組織を整備して、また、環境条件を改善することによって「業務を効率化する」ものです。トップ・リーダーのリーダーシップの発揮を有効に手段であって、「管理」することは目的ではありません。
指揮と管理と統御(人間性)は、人や組織を動かす不可欠の要素で、これは(少なくとも軍隊では)組織管理の普遍的原則だと言っても良い共通認識です。
組織が機能していないことを「管理」の問題だとしているのは、「人や組織を動かす」ことを求めない、トップ・リーダーの責任です。
そう考えると、責任ある組織人として、そんな議論をすること自体が責任放棄に等しいことで恥ずかしい。議論する暇があったら、さっさと変えてしまえば良いのに、と思ってしまいます。
(ユーチューブで話をしていた方々がそうだということではなく、私はそういう意識で組織を動かしていたということで、別に批判しているわけではありませんので)
これまで日本の企業の生産性が極めて低いと言われていることを聞き、不当に低い評価ではないかと、とても不思議に思っていました。
しかし、この番組で、ITの時代になったから、組織の在り方が変化して、中間管理職の在り方を見直さなくてはいけない、管理職の教育を御直さなくてはいけない、と真剣に議論しているのを聞いて、妙に納得したところがありました。
管理を目的にして組織を動かしているのであれば、いつまで経っても生産性が上がることはないし、危機を管理するという変化の時代を切り開いていく発想は、決して湧いてこないだろうと。
では、「中間管理職」と表現するのがおかしいというならば、どのように考えるのか。
組織というものは、指揮の連結(chain of command)で成り立っているのだと思います。
組織の結節となる人は、すべて指揮をしなくてはなりません。指揮とは、その職務に与えられた責任と権限を行使することで、それが連なって組織になります。
その指揮を有効に機能させるためのものが、管理。
指揮官が個人で責任と権限を果たせないときに、指揮を補佐する役割をもって配置された者が、幕僚(参謀)。ブレーンはブレーンで、脳みそは人格を持ちません。
これらが一個の人格のように有機的に連結して機能する組織が、法人。
ということで、トップ・リーダーが、部下に責任と権限を果たすように求める組織に、「中間管理職」は存在しない、というのが結論です。