危機管理教育と学校教育は、本質的に異なるところがあります。
学校教育は、論理的思考を学び、合理的なもの良しする“答えのある世界”で学びますが、 現実世界、特に危機的な状態にある世界では、唯一絶対の答えはなく、人の好みによって異なる答えが用意されているばかりではなく、 理不尽さ、不条理さが溢れ、答えは、偶然によって全く違った方向へ流れてしまいます。戦場はその“答えのない世界”ですから、 レンジャーや特殊部隊の教育では、“計算し尽くされた”理不尽さや不条理さや非論理性の環境のなかから、 優れた、逞しい人材を育てることを良しとしています。
自衛隊の教育は、徹底した合理性、効率性、合理性を追求しますが、訓練になると、予測不能な非合理性、非論理性、非効率の状況下で、より確率の高い判断を求めるトレーニングを行います。
この二面性がなければ、危機時に強く、裏も表も見通すことのできる、人間味あふれる指揮官、隊員を育てることはできません。大切なことは、自分の置かれた環境を受け入れ、自分で考え、自分の意思で行動し、諦めないこと。現在の日本の教育で、真に求められているものここにあるのではないかと思います。
マクレイブン大将のスピーチを聞くたびに、部隊での5年間のレンジャー教官時代を懐かしく思い出します。