■対応
- 名古屋市千種区 区政部長 渡辺一紀 (市本部で庶務部員として活動)
- 名古屋市 港消防署長 小林信之 (市本部で総括部員として活動)
■名古屋市の地形的特性
推計人口2,327,723人 (2021年)。昼間人口約1024万人(2019年)。
- 濃尾平野に広がり、東部の丘陵地、中央部の台地、北・西・南部の沖積平野の3つに区分できる。
- 東部(守山区・千種区・名東区・天白区・緑区)は、海抜50- 100メートルの丘陵住宅街。
- 中央部(中区・東区・中村区・熱田区・昭和区・瑞穂区)は、海抜10 – 15メートルの平野。
- 北・西・南部(北区・西区・中村区・中川区・港区と熱田区・南区の一部)は河川の堆積作用によって形成された沖積地のため海抜が低く、水害に悩まされてきた地域。
- 名古屋港を有する港区から南区は海抜0m地帯が広がる。
■東海豪雨の特性
①地形的特性等から予測されていた水害
②予想を超えた降水量
11日の日降水量が平年9月の月降水量の2倍となる428ミリ。
2日間の合計降水量は567ミリで、年間降水量の1/3に達した。
→11日1800~12日1200の間、庄内川の計画高水位を超過
③9月11日午後~9月12日にかけて、夜間の初動対処
④交通網(地下鉄等)が遮断
⑤被害
- 死者4名、重傷者13名、軽傷者34名
- 全壊4棟、半壊98棟、一部破損18棟
- 床上浸水9818棟、床下浸水21,852棟
- 河川破堤3か所、河川越水109か所
- 道路損壊88か所、崖崩れ等87か所
- 鉄道不通4か所
■教訓
1 交通網の断絶のため市職員の参集に制限
→参集した者全員で対処
→複数の通勤手段、通勤経路を考慮
2 避難勧告が遅い、伝わらない
→具体的発令基準の制定、準備情報の伝達
→あらゆる手段の活用(メディア、サイレン、SNS等)
3 防災情報の提供が不十分
→ハザードマップ、避難所情報等の配布
→市民からの情報の活用
→災害対策本部の情報処理能力の向上(訓練)
4 避難所の運営と救援物資の配布等
→避難所運営計画の充実、周知
→備蓄物資の充実
5 救援物資の輸送手段確保
→備蓄倉庫の充実
→ヘリポートの整備
→水路(ボート等)の活用
6 要介護者の支援
→名簿の整理
→共助意識の普及、徹底
7 「正常性バイアス」の克服
→「想像力」「訓練」「準備」
■水害の特性
1 水の重要性
2 防寒、着替え等対策
3 衛生対策
4 避難所生活の長期化
5 瓦礫等処理
■『市町村における災害対応「虎の巻」~災害発生時に住民の命を守るために』(平成7年8月内閣府)
1 疑わしいときは行動せよ
2 最悪事態を想定して行動せよ
3 空振りは許されるが、見逃しは許されない