静岡県の東部、愛鷹山の東部、箱根山の西部に位置。黄瀬川を中心に、箱根山、愛鷹山、富士山の3つの山裾が重なってできていて、居住地域は、黄瀬川低地帯、箱根山麓帯、富士高原帯(十里木別荘地域)、富士山麓帯、愛鷹山地帯の5つに区分され、約2100mの標高差がある。

溶岩の固い地盤の上にあり、黄瀬川以外は、水が浸透してしまう渇水地域で、芦ノ湖から深良用水を引いて水をまかなっている。芦ノ湖の水利権は裾野市が持っている。

災害対策上、東西方向の道路が未発達で、河川の未整備、下水道の不足、新興住宅との調和等の課題がある。

トヨタを中心とする製造業が盛んで、全国的に財政面で豊かなことで知られ、全国のモデルとなる「次世代型近未来都市構想」を出している。

人口約52000人、約22000世帯。

裾野市の防災対策の変化についてお話しを伺い、ここ数年の災害を巡る環境の変化が如実に表れているように感じられた。

これまで防災の重点は、海溝型巨大地震、地震の前後に連続して富士山が噴火する複合災害、浜岡原子力発電所の原子力災害など、国や県が重視している防災対策に沿って進められていたが、ここ数年、防災の重点は、風水害への対策、特に中小河川による局地的災害など、住民生活により密接に影響がある災害に焦点が移ってきた。

元々、地盤の固い地域でもあり、地震対策は、机上での検討と防災関連予算の配分が重視されてきましたが、風水害対策では、地元の住民ニーズに基づいて、実働を伴う対策が求められるようになった。

防災は、「官が考える(やる)もの」という住民意識から、「自らが行うもの」という意識の啓発普及が課題になっている。

特に、112カ所ある土砂災害警戒区域等にかかる対策が重点。今回のコロナ対策を受けて、避難所の運営要領見直しを進めている。

避難所は、広域避難地が11カ所。指定避難所が、小中学校、高校、幼稚園、コミュニティセンターなどに28カ所。福祉避難所が15カ所。

裾野市は、85の行政区と区への未加入ですが十里木の別荘地区の86地区に自主防災組織があり、避難所は、市から派遣される広域避難地要員、自主防災会、施設管理者を中心に運営するようになっている。

自主防災組織は、区長、防災会会長の意識によって、地域差が非常に大きいのが実態で、計画も見直しが必要だとのこと。

危機管理室は、市庁舎の1階フロアにありましたが、災害対策本部は4階会議室に設置するとのこと。災害対策本部の運営と市民の問い合わせ対応、市民他多数の方々の来訪だけではなく、危機時のメディア対応の矢面に立つ可能性を考えると、災害対策本部と危機管理課は、市長の側にあって、落ち着いて活動できる場所が望ましいでしょう。

コロナ対策のため、避難所運営要領の見直しを進めるなか、計画を策定し、避難所を回って確認、指導して回るなか、貴重な時間を割いていただいたが、裾野市の防災上の課題について要点を押さえて、大局観のある、テキパキとした説明が印象的でした。 ありがとうございました。