《富士学校の普通科部長に着任したとき、毎朝部員が3分間スピーチをする恒例になっていた。毎回、部長がコメントすることになっているというので、3分間スピーチにコメントは入らないだろうと言うと、それもまた恒例で、話の長い人は10分以上話していたので、時間は気にしなくて良いから話して欲しい。必要ならば3分間スピーチの原稿を事前に持ってこさせるという。
それほど話し好きではないし、要らぬ手間をとらせたり、毎朝、皆の貴重な時間を潰したりするのは申し訳ないので、トレーニングのつもりで、出たとこ勝負でコメントすることにしたが、話の筋を折ったり傷つけたりしないように持ち上げながら自分の視点や考えを入れて語る、そして同じ話を繰り返さない、2年間、あれは本当に良い頭の体操、当意即妙のトレーニングになった、有り難い場だったと思う。
元々、このコメントはFacebookに投稿する際に書いていたものだが、何が出てくるか分からない岡野さんのエッセーへのコメントを書きながら、ふと、普通科部長当時の3分間スピーチを思い出した。 3分間スピーチやエッセーの邪魔にならなければ良いのだがと、反省しつつ。》
今、家内にうちに来て30年は経ったかと聞いてみた。「ええ、経っているけど、なんで?」「いや、前に店の近くに消防車が来て」と云うと、「ああ、それね。私ではないわ。それはもっと前よ」と云って、笑っていました。
それは家内が嫁いでくる前、私の父、3代目がホールをしていただいていた頃のことで、夜、3組ぐらいのカップルが食事を取られておりました。そこへ消防車のサイレンが店のすぐ前の横道に入って止まりました。父は直ぐ店を出て見に行きました。すると、おかしなことに3組のうち男性陣が皆、父の後を追いかけるように見に行ってしまったのでした。女性のお相手を置いて。私は急いでホールに入り、唖然としていらっしゃる女性陣のお相手をしました。
実は昨晩、午前1時ぐらいにサイレンが鳴り、2階の私たちの部屋のなかを明るく照らしたのです。家内は血が騒ぐのか、いつもすぐに見に行くのですが、みっともないのと邪魔になるから行くなと云うのですが、さすがに真下と云うことで、すぐにズボンをはいて降りていきました。すると東京ガスの車もすぐに着いて、これはガスで、危ないと思い、警備している巡査に「どうしたんですか?」と聞くと、あまりにも適当に、ガス警報器が鳴ったので、とあしらったのでした。
私にとっては、直ぐ横に住んでいるのと、店があることを告げ、ガスだったら怖いので、原因が分かったならば知らせて欲しい、と頼みました。すると、面倒だと思ったのか、別の女性巡査に引き継ぎました。この巡査が、呆れたことに上から目線で、人の話を聞く前に、人定質問から始めたのです。私もびっくり。そこで家内が来たのです。ちょうど店の前で話していたので、店の鍵を開けて名刺を渡し、この巡査に説明しました。
「今消防車の止まっている道は、過去2回ガス漏れがあり、工事をしているので、キチンと原因を突き止めないと安心できない」と伝え、ようやく理解してもらいました。私の頭の中では、先日のレバノンの爆発と8月初旬の福島県郡山のプロパンガス爆発が脳裏に浮かび、都市ガスA13は空気より軽いので、プロパンガスのように下に蓄積しないことはよく分かっているものの、調理という立場から火事とかガスには敏感なのです。
調理場からの出火で多いのは、天ぷらからの火事。そして木造モルタル作りで中の木が長期の熱により、蒸し焼きになり、炭化、それに火がついてからの火事です。ガスには匂いがあります。知識としては、分かっているのですが、警報が鳴ったビルは、前2回、誤報があり、そして警報の店は新しく、まだ2年ほどです。何があったのかが心配で、3~40分現場で女性巡査とみておりました。そろそろ解決が着きそうだったので、女性巡査に先ほど渡した名刺の番号に結果を知らせて下さいと頼み、部屋に戻りました。
ほどなく電話が鳴り、電子レンジの中の物が炭化し、二酸化炭素が発生して充満、警報器が作動したと、伝えてくれました。最後に、消防の方からビルの管理人に注意をしたと聞いています、でした。オイオイ、それは経緯であって、原因ではないので、これはダメだと思い、御礼を言って切りました。
私がフランスから帰国した当時、色々の方が、麻布署は管内に外国の大使、公使館がたくさんあるので、警視庁でもエリートコースだよ、と話されるのを聞いており、事実、そういう方々がお見えになっておりました。時代とは、変わっていくものだと思いました。
変わったのは本当で、昨日の騒ぎ、深夜1時といえども、真下にサイレンを鳴らして消防車が来て、出てきたのは52世帯中、うちだけだったのです。前にもマンションの警報が鳴ったり、ちょっとした事件で消防車が来たりしましたが、出てきたのはほんの数人でした。また52世帯も住んでいて、私が存じ上げているのは、子供さんのいるご家族と、若い人、数人です。
まぁ、私の出てくる時間帯や帰りの時間も関係あるのでしょうか。挨拶すらしない人も結構います。私が最後に妹と住んだアパートは、7階建ての7階で、各階に4世帯住んでいましたが、私たちはほぼ皆、存じ上げていました。モンマルトルの裏の下町でしたが、お年寄りも多く、毎日2回帰って来るので、重い水などは管理人さんのところに置いておいて、と私たちが運んでいました。何かというと個人情報が、とか世知辛い世の中になってしまったと思います。
この騒ぎがどうも腑に落ちないので、翌日、すなわち今朝、青山墓地の隣にある消防署にラッタッタで行きました。受付の若い消防署員の方に事情を説明して機構とすると「それは文章で出していただかないと、何せ個人情報なので。それと4~5日後に、黒塗りで出てきますが」と。
えっと思っていると、隣に座っていらっしゃった年上の方が、若い方にアドバイスをしてくれて、上司の方に連絡を入れてくれました。なんと、大隊長が降りてきて、対応してくれました。名刺をお渡しすると、わざわざお名刺を頂戴し、「それは心配でしょう。お話しはよく分かりました。実は、その件は、私たちの管内ではなく、ご住所からすると麻布消防署の担当地区だと思います。すみません。これからそちらにいかれるならば、私の方から連絡を入れておきます」と、大変丁寧にしていただきました。
私の大ミスでした。いつも散歩で前を通っていたので、消防署イコールこちらだと。そう、こちらは赤坂消防署でした。非礼をお詫びし、心優しい応対に感謝し、さっそく麻布消防署に向かいました。麻布署でも、女性巡査と同じことを云われたので、原因は分かりませんでした。電子レンジが自然発火するはずはないので、例え電子レンジオーブンでも同じです。憶測すると、電子レンジの中に何かを入れて、消し忘れたのが原因だと推察します。店は閉まっていたので、この店はまた、同じようなことを起こす危険があると思って、見守ろうと思います。
これとはちょっと違いますが、この頃、人の名前が出てきません。トイレの電気の消し忘れも。で、店も閉める前に必ず、コーヒーのホットプレートのコンセントを抜くことと、オーブンの火を家内が見てくれています。 反省です。