レジリエンスは、「逆境や困難、強いストレスに直面したときに適応する精神力と心理的プロセス」(APA 全米心理学会)、「ストレスや逆境にさらされても、適応し、自分の目標を達成するために再起する力」、「逆境から素早く立ち直り、成長する力」などと言われます。
竹のように曲がってもすぐ戻る復元力や回復力、テニスボールのように凹んでも跳ね返すという弾力性、新たな厳しい環境化でもやっていける適応力、外的な刺激に対する柔軟性などの意味で使われています。
ストレスや逆境に落ち込むマイナスを減らし、できるだけ早く立ち直らせ、前に進む力を持続させることを言っていて、直接、成長につながることを意味しているわけではありません。
レジリエンスを高める効果には、次のようなものがあります。
- 集中力を上げ、パフォーマンスを高める
- より独創的、包括的に問題を解決する
- 周囲の状況に対して、より効果的に働きかける
- 限られた資源を最大限に活用する
- リスクを特定し、より効果的に対処する
- ネガティブな出来事にうまく対処する
- ストレスに、より効果的に対処する
- 問題行動が減る
- より前向きに、充実感を持って、幸せな気分で生きる
いつの時代においてもどのような環境下においても、心身の健康を保ち、充実感や幸福感を味わいながら暮らし、落ち込むことなくあなたの能力を発揮し、仕事で満足のできる成果を出すために必要なものがレジリエンスです。
レジリエンスを養う智恵は、教育者や宗教者たちの教えだけではなく、歴史や文化や伝統、躾、エチケットやマナー、習慣、ことわざ、教訓、言い伝えとして受け継がれ、日本人のDNAのなかに染みついています。
こうした私たちの周りに当たり前のように存在する“善きもの”をもう一度見直し、体系化して気づきを与え、活かしていきたいというのが本書の狙いです。
人は、実際の辛さよりも2~3割厳しめに未来を予測すると言われていて、悲観的なものの見方は、人を必要以上に不安に陥れます。
さまざまな出来事に遭遇したとき、それを幸運ととらえるか、不運ととらえるのかは、それぞれの受け取り方次第ですから、出来事は変えられなくても、その受け取り方を変えることはできるということです。
経験した出来事をどのようにとらえるか、受け取り方一つであなたの感情は大きく変わり、将来の行動に影響します。「人生には無駄がない」と言われるように、起こった出来事をよい経験だ、有益だと思った瞬間に、すべてがかけがえのない、価値ある経験に変わるのです。
だからこそ、物事を前向きにとらえて進んでいく発想方法や生き方を知り、習慣化することに価値があります。