■自律神経の不調が身体に与える大きな影響とは?

人は、リラックス・モードになると、副交感神経が優位となり、次の活動や危機的な状態に備えて身体を休め、栄養を蓄えようとします。

  • 血圧が低下し、身体の動きは緩やかになります。
  • 逆に、消化器の機能が活発になり、唾液は多く分泌され、胃の動きは活発になります。

器官別にみた自律神経の働き

器官名交感神経 【闘争、逃走の体制】副交感神経 【休養と栄養補給体制】
瞳孔と眼球拡大・突出縮小・陥没
唾液腺少量の濃い液大量の薄い液
心臓拍動促進抑制
末梢血管収縮拡張
冠状動脈拡張収縮
血圧上昇低下
気管支拡張収縮
消化管運動抑制促進
消化液分泌減少分泌増加
肝臓  グリコーゲンの分解 (血糖上昇)グリコーゲンの合成 (血糖低下)
皮膚(立毛筋)収縮(鳥肌)

これに対して、戦いモードに入ると、交感神経の働きが活発になります。

  • まず、相手を目でしっかりと確かめようとします。
  • 逃げるのか、戦うのか、瞬時に判断をしなければならないので、脳神経が興奮状態になるので、眠気はなくなります。
  • 機敏な反応や瞬発力を高めるために、筋肉が十分動ける状態にしなくてはなりませんから、肝臓からグリコーゲンを分解し、血糖値を上昇させ、脳と筋肉のエネルギーを供給します。
  • 全身に酸素を供給するため、呼吸は速く、かつ荒くなります。気管支は拡張し、多くの空気を取り込もうとします。
  • 身体の重要な臓器に血液を集中させるので、末梢血管は収縮し、手足は冷たくなります。
  • 心臓はドキドキと活発に働いて、筋肉や脳に酸素や糖を、たくさん送り込もうとします。
  • 緊急事態には関係がない消化器の機能は抑制され、唾液や消化液の分泌は減り、消化管の運動は押さえられます。

このリラックス・モードと戦いモードの切り替えは、人間が生き延びるために身につけた非常に効率の良い、身体の自動的な制御システムです。

人は、この戦いモードが長く続と、身体が消耗するので、持続することはできません。

心臓を無理して早く動かしていると、心臓疾患を引き起こしたり、脳の興奮状態が続くことで、不眠症となったり頭痛が出たり、胃潰瘍や肩こりなどさまざまな不都合を引き起こします。

慣れない人が多くの人前で話をするとき、胸がドキドキして頭が少しポーッとするのは、交感神経が優位になるからです。それが終わるとドキドキは収まります。

しかし、家でゆっくりしているときにこのドキドキの状態が起こったり、寒いのに身体がポッポと火照ったり、暑いのに身体がゾクゾクしたりすることがあります。

身体が緊急事態だと錯覚するため起こる自律神経の調節障害です。

ストレスが自律神経の不調を招き、自律神経の不調は、血流の低下を招き、さまざまな症状となって身体に悪影響を与えます。

自律神経のバランスを崩す要因は、ストレスだけではなく、乱れた生活リズム、不規則な食生活、運動不足、喫煙、睡眠不足、それに加齢があげられます。

〇代表的なもの:

新陳代謝の悪化、集中力の低下、肩こりや頭痛など

〇身体的な症状:

頭痛、首・背中・腰の痛み、便秘、下痢、胃痛など

〇精神的な症状:

不安感、心配、イライラ、憂うつな気分、物忘れなど

〇行動面の症状:

外見が乱れたり、食べられなくなったり、眠れなくなったり、性欲が変化したり、お酒やタバコの量が増えたりなど