1 判断の基準
時間の余裕があるときには、あらゆる問題に対処できるように、漏れなく考察することを重視します。
考えられるあらゆる問題に対処するように備えるのではなく、最悪の事態だけは避けるように備えることで、目標実現の可能性を担保するのです。
実行は、確実に任務を達成できる方策を選択しますが、やむを得ない場合には、方針を変更する条件を整えておきます。
あらゆることを予想しているだけでストレスは減ります。
予想外を無くし、漏れなく考察した内容をできるだけシンプルに、使いやすくまとめることで、組織力が生きてきます。
何か小さな問題が起きても、方針に変更がなければ、組織をあげて目標追求に集中できます。
判断の基準に「役割分析」があれば、目的を見失うことはありませんし、自分の行動や活動の社会的な意義が強く意識されますから、精神的な動揺やモチベーションの低下、ストレスは少なくなり、組織の集中力が高くなります。注意すべきことは、不要な憶測をしない、先入観に陥らない、独断と偏見で判断しないことです。
このため、極端な案まで考察し、最良から最悪までのケースを幅広く分析し、相対する第三者的な視点を入れ、複眼的に分析していきます。
人間の行動は感情に大きく影響されますから、論理的な思考過程(思考の手順)を踏み、幅広く考えて、目標達成だけに集中することによって、マイナス感情の入る余地を消してしまうことができます。
この思考過程は、合理的であると同時に、感情の入る余地を排除する考え方です。
分析すれば分析するほど、分析結果に引きずられてしまうことがありますので、最終的には、この組織をあげて分析した結果の報告を受けたトップ・リーダーが、「総合判断力」という直感をもって、意志決定します。
トップ・リーダーの「総合判断力を活かす」ことは、分析重視の誤謬に陥らないための智恵であり、それだけ責任があると言うことです。
2 思考過程
① 役割分析
「Ⅰ 役割分析」の通り、目的、役割や意義を考察し、目標の幅を考察します。
② 環境分析
彼我を取り巻く環境を分析、行動に及ぼす影響を考察します。
② 彼(対象者)の分析
作戦では敵になるのですが、立場の異なる対象者(敵)の視点から、彼らであればどのような行動をとるかを分析します。
顧客であったり、ライバル会社で会ったり、適宜に視点を定めます。
③ 我(自分と支援者)の分析
強みや弱みを前提に、どのような選択肢をとれるか、どの選択肢が一番望ましいかを分析します。
「彼(対象者)の分析」結果と組み合わせて、シミュレーションします。
④ 我の支援基盤の分析
「我(自分と対象者)」の支援の可能性や対策、処置を分析します。
与えられた立場や能力、時間によって、分析の精度や内容は、千変万化させて構いませんが、考える手順や大きな骨格は変えないほうが有利です。
なぜなら、漏れなく、無駄なく、考えを進めることができますし、仕事を進める上での共通認識を持ちやすくなって、関係者全員の意思疎通が容易になるからです。
3 環境分析
彼我それぞれの視点から、行動に及ぼす環境を有利な点と不利な点に分けて考察します。
自分の立場だけから分析するのではなく、相対する立場からも考察すること、都合の良いことも悪いことも取り上げることが、ポイントです。