《結婚して、良かったと思ったことは、家内の作る料理の味が、母の作っていた料理と似ていたこと。家内に言わせると、私の父も家内の父も血圧が高かったので、「料理の塩味を薄くしていたから、そう言うんじゃないの」。言葉の裏には、「どうせ、味なんか分かっていないでしょ」。

というのは、結婚してすぐの頃、家内が一生懸命、手間をかけて出汁をとった料理を「ちょっと、味が薄いね」と醤油をかけていたことや、あるとき「これ美味しいね」と言ったら「それ、インスタントです」ということがあったので、まったく信用されていないのです。

最近は、「これ何の出汁?」「そうか、美味しいね」と、会話に一工夫するようになりましたが、味の評価は、自分が好きか嫌いかくらいに留めておくのが無難なようです。(A.Y)》

初っぱなから尾籠な話しで失礼。

昨晩、3回もトイレに置きました。犯人は分かっているのです。それと共犯者も。現在、私が大変憂いていることがあります。それは流行です。

今回のコロナもそうですが、流行は問題です。この流行には二通りあり、自分のなかだけで流行ること、世間全体で今回のコロナのように流行る、この2つです。どちらにしても、あまり好ましいことではないと思います。

自分自身を振り返ってみても、自分のなかで流行ったのは、前に書いたメンコや模型作り、いやこれも落ち着いて考えると、世間で流行っている遊びに乗っていたようです。そういうと、ほとんどのことがどこかで誰かが始めたものやファッション、音楽、考え方・・・とさまざまな流行に自分が乗っているだけだと思います。唯一違っているのが、個個の味だと思います。

たしかに地方地方にはその土地の産物から来る独特の文化というか、傾向があります。その代表的なところはインド周辺のカレー文化です。それでも個人個人、自分の好みの味があると思います。

今、オリーブオイルが流行っているようですが、私も3年ほど南仏のサントロッペから車で10分ほどのレストランにおりました。そのときにオリーブオイルを使っていましたが、全部に使うわけではなく、その料理に合うときに使います。それはレストランなので、と云うよりも、食に特化した職業ですから、自ずとその主に成る材料に合わせて他の材料を選ぶわけです。逆の言い方をすれば、普通の家庭での食事では、栄養面や経済面が重要視されるので、安価な土地の材料を使うのです。それでオリーブオイルが選択されているわけです。

今流行のコロナの前に、イタリアブームがありました。そのとき世間では、右も左もイタリア、雑誌、テレビでもイタリア、パスタだ、オリーブオイルだのをこぞって取り上げていました。今日もラジオで、スパゲッティーを取り上げていました。「パスタとスパゲッティーの違いは?」を話していました。これは、小麦を練ったものをパスタと云い、その中の1つがスパゲティーなのです。あのきし麵のようなタイガテルも同じです。

イタリアだけでなく、世界中、どこでもそのときの流行があります。1972年のパリでも、あの有名なロンドンブーツが若者に流行りました。ときどき行くパリの地下鉄で、階段を上るときに、目の前のあの長いロンドンブーツの踵を電動鋸でサッと切ったらさぞスッキリするだろうと、何回思ったことか。

ご心配なく。ロンドンブーツは履きませんでした。私は、高下駄を履いていました。夏場は。そう、日本でもお年寄りに云われていたそうです。「夏の暑い時期に蒸れるでしょ」。そして家に上がれば長袴。

フランス人は日本人ほど右向け右ではなく、個々を大事にする文化があり、一斉に右ではありませんが、それでも流行はあります。

この一斉に右が問題なのです。特に味付けは。

今、私のなかでのブームは、魚肉ソーセージです。それと野菜。家内がスーパーから魚肉ソーセージを買ってきて、冷蔵庫に入れてありました。

風呂上がりのテーブルの上にいつもなら準備されているおつまみがなく、冷蔵庫を開けると目に付いたのが魚肉ソーセージ。まぁこれで良いかと思って焼酎の水割りとこれ。意外と行ける、いや合う。で今、小学校以来のマイブームになっております。

そして問題の味付けです。

我が家での悩みは前にも書かせていただきましたが、食事です。もう二人とも飽きているのです。お互いの味に。同じスーパー、同じ材料、同じ作る人で。で、ときどきスーパーの大きなおむすびと鶏の唐揚げを食することがあります。このおむすびが我が家とは違うので、美味しく感じるのです。ただ、おいしいので売り切れるときがあります。

しょうがないので、半額セールのお弁当を二つ買ってきたのです。なんと2つで453円です。本当に申し訳ない。この金額で、と思いながら食すと、何と味が濃いのです。

お弁当だから味付けが濃いのは分かります。また食に携わる者として理解できます。

温かいものは冷えると味が濃くなる。これ常識。理由は食品が冷えるときに水分が蒸発していくので味が濃くなる。そして、もう一つ、温かいは、美味しい味の1つなのです。

人類だけが熱いものを食しています。肉食動物の温かいものを食しますが、熱いものは食しません。よく云う猫舌です。

そういう理由でお弁当は味が濃いのですが、それにしても濃い。

この頃気に入っているのが皿うどんです。この麵は、私は作れないので、スーパーで2人前の出汁入りのものを買ってもらっております。

これに野菜をたっぷり、白菜、玉ネギ、人参、ネギ、ピーマン、もやし、そしてキクラゲと豚の三枚肉、そしてシーフードを入れて作ってもらっています。出汁の味が濃いのは分かっているので、1人前しか入れていないのに、それでも濃いのです。

理由は、合成された出汁だからです。前にもコンビニのサンドイッチの味が濃くなった理由を書きましたが、今、味付けは、どんどん濃くなっています。気をつけましょう。

テレビで劇辛なんかを取材していますが、辛みは舌をどんどん馬鹿にしていきます。

見習いのとき、1971年に皿洗いのアルジェリアの方がいました。前にも書きましたが、毎日の食事は私が昼夜作っていました。夜は必ずポタージュを出します。勉強のため。

彼はこのポタージュに必ずカレースプーン1杯のカイエンペッパー、すなわち唐辛子を入れて食するのです。何と10cm×10cm×20cmのブリキ缶に一杯入っていたものが2ヶ月で無くなりました。本来、彼が食さなければ、レストランで50年使っていっても無くならない量です。

若い人たちは特にもう少し美味しいものをと思うのが当たり前で、それは味だけで無く、他の分野でも同じです。これにより、社会は変化、進歩?してきましたが、食に関しては、祖父母の世代、いやその前の世代の経験値により私が書いているような警鐘を鳴らされるので抑制されてきました。

現代の世界的傾向が核家族化している今、祖父母の経験や智恵が伝わりづらくなっています。親子の間では、生まれながら一緒なので子には親の経験値はプラスにはなりません。お気をつけを!!

ちなみに犯人は前出の皿うどんでした。味的に濃いので水を沢山飲んだのです。そして共犯者は焼酎でした。

https://www.saibouken.or.jp/?p=4591