先日、熊野那智大社の宮司様からお聞きして、初めて知りました。

昭憲皇太后基金(The Empress Shôken Fund)をご存知でしょうか。

昭憲皇太后基金(The Empress Shôken Fund)は、1912年(明治45年)、昭憲皇太后(明治天皇の皇后)が、赤十字国際会議に際し、各国赤十字社の平時事業にと、ご寄付された10万円(現在の3億5千万円相当)を基に創設された基金で、これが平時における人道活動を対象とした「世界最初の国際人道基金」となり、現在まで、国際赤十字の合同管理委員会によって運営されています。

当時、赤十字は戦時救護を主に行っていて、平時の自然災害や疾病予防等の活動を奨励する基金設立は画期的なことでした。

基金は、日本の皇室、明治神宮をはじめとする日本からの寄付金によって原資を切り崩すことなく、そこから得られる利子が世界の赤十字社の活動に配分されています。

毎年、昭憲皇太后のご命日にあたる4月11日頃に配分先が発表され、今年は103回目の配分となりました。

1921年(大正10年)から103年間で、配分先は172の国と地域にのぼります。

今回の配分は、次のようなものでした。

1.アフリカ地域

(1)レソト赤十字社:約502万円(29,942スイスフラン)

   気候変動に対する早期警報システムの活用

(2)モーリタニア赤新月社:約503万円(30,000スイスフラン)

   食料危機・栄養失調を予防するためのコミュニティ強化

(3)マリ赤十字社:約491万円(29,298スイスフラン)

   青少年を対象とした救急法の実施

(4)ルワンダ赤十字社:約503万円(30,000スイスフラン)

学校のクラブ活動における救急法技術の向上

(5)南アフリカ赤十字社:約503万円(30,000スイスフラン)

防火対策に関するヨハネスブルクとナイロビの協働

(6)ナイジェリア赤十字社:約503万円(30,000スイスフラン)

   青少年とボランティアによる気候変動対策

2.アメリカ地域

(1)ボリビア赤十字社:約503万円(30,000スイスフラン)

   コミュニティ支援を通じた青少年のリーダーシップ強化

(2)チリ赤十字社:約500万円(29,800スイスフラン)

青少年への性と生殖に関する教育と啓発

(3)コロンビア赤十字社:約503万円(30,000スイスフラン)

包括的医療サービスの実施強化

3.アジア太平洋地域

(1)パプアニューギニア赤十字社:約406万円(24,222スイスフラン)

青少年緊急チーム設立を通じた青少年エンパワーメン

(2)バヌアツ赤十字社:約503万円(30,000スイスフラン)

緊急時における性暴力への対策強化

4.ヨーロッパおよび中央アジア地域

(1)キルギス赤新月社:約284万円(16,950スイスフラン)

   赤十字ボランティアのスキルアップのための研修スタジオの創設

(2)リトアニア赤十字社:約449万円(26,762スイスフラン)

   青少年の実践的スキルの向上

(3)マルタ赤十字社:約481万円(28,650スイスフラン)

   青少年への水上活動に関する研修の実施

(4)モンテネグロ赤十字社:約503万円(30,000スイスフラン)

地域に根差した献血コミュニティの構築

5.中東・北アフリカ地域

(1)アルジェリア赤新月社:約503万円(30,000スイスフラン

最新コミュニケーションツールの活用研修

(2)レバノン赤十字社:約503万円(29,973スイスフラン)

国際人道法ユースアクションキャンペーンの実施

100年以上の歴史をもつ世界最古の国際人道基金「昭憲皇太后基金」の配分決定|Infoseekニュース