Q 四日市市の地域防災計画に目を通したところ、直下型の地震が予想される活断層が三カ所あるし、沿岸部は津波や液状化が予想されるなど、非常に多くの自然災害が予想されているのが意外でした。また、災害が多いからか、非常に分かり易くまとまっていました。まずは、防災上の地域の概況などを教えてください。

A 鈴鹿川、内部川、朝明川、海蔵川、三滝川の他、中小河川が多く、流域はほぼ全市域に及びます。 県下最大都市で人口は約31万人で、四日市港を中心とした沿岸部にはコンビナートが立地するのが特性です。

予想される自然災害は多いのですが、直近で大規模な災害に逢った経験がなく、直下型の地震を経験したわけではありません。近年の大きな災害経験は東海豪雨くらいしかないので、災害に逢った人が少なく、災害に対する危機意識は高くありません。

Q HPを見た際、国土強靭化地域計画の位置づけが分からなかったのですが、四日市市のアンブレラ計画に位置付けられているのでしょうか。

A 考え方はそのように位置づけていて、危機管理統括部が統括することになっています。ソフト面で危機管理統括部がソフト面を担当して統括し、各部門がハード面を担当しているのですが、実体はハード面が優先されるため総合調整が難しく、理想形にはなっていません。各部の現業、日常業務が優先される形になっているのが実態です。

Q 市の災害対策本部の運営訓練は、年1回でしょうか。運営の練度はどのようにお考えですか。役所内で、災害対策本部の運営は連携が取れているのでしょうか。

A 災害対策本部訓練は年2回実施していますが、災害対策本部としての訓練練度は、ご想像の通り十分ではなく、課題は多いと認識しています。

Q 四日市はコンビナート災害が予想されていて、石油コンビナート等災害防止法では、県が計画を策定するようになっていますが、市としてはどのような役割をもって、どのように取り組んでいるのでしょうか。

A 国の法律と県の計画によって枠組が決められていて、事業所は法律で定められた災害対策を準備しています。災害への直接的な対処は、事業所と消防が準備している資機材等を用いて実施します。市は、消防を中心に消火活動他の応急対策、捜索、救助・救急活動、医療救護活動、住民避難等を実施する他、平時は環境面での役割が多くなっています。

検査等でも許認可権が、例えば、高圧ガスは県、一般のガスは市というように分かれていたりするので、連携は不可欠です。全員が顔見知りだという訳ではありませんが、普段から部門ごとに連携をとって仕事をしているので、市と県と事業所は重層的に関係していることは強みになると思います。

消防もコンビナート災害に備えた各種装備を保有しています。

Q コンビナート災害時、特に住民避難や避難所の運営については如何でしょうか。

A タンク1個ずつ、それぞれに避難計画を策定しなくてはいけません。直接隣接している訳ではないが、タンクと居住地域が近いのが問題だ。避難所の運営は地域に任せるようにしている。120か所の避難所に備蓄物資を用意している。その他、40か所に備蓄物資を集積しているので、水とトイレと食事は問題ありません。

コンビナートのある出島は、高さ5mの外壁を防波堤としているので津波の危険はないとされていますが、住宅地域は津波で被災するリスクがあります。

Q 120か所の避難所の備蓄物資の現況を一覧表できちんと整備しているのは、素晴らしいと思います。

A 地域防災計画の資料編に一覧表をつけています。備蓄物資を更新して、平準化していくのが課題で逐次に進めていかなくてはなりません。

Q 市と消防との連携に課題のある市町村は多いですが、四日市市は如何でしょうか。消防本部と市役所は連携が取れていますか。

A 消防本部は市役所から離れた場所にありますが、私(危機管理課長)の他、消防職員2名が勤務して連携をとっています。災害対策本部を設けた際、消防から必要な情報を入手できるように情報機器を整備する、関係機関が入る場所を設けるなど、改善したいと考えています。

Q 課長が消防の方だというので、消防についてお聞きしてよろしいでしょうか。四日市市の消防職員は何人でしょうか。出向者もいますし、消防の組織は機能別に専門化する傾向にあって、職員の連携や勤務体制を整えるのが大変ではないかと思うのですが、四日市消防の現状はどうでしょうか。

A 消防は380人体制です。四日市消防は、全員が兼務でさまざまな業務ができるようにしないと成り立たない中小企業のようなものです。逆に、中小企業のようなやりくりしているところが強みになっています。大規模の消防では完全に専門化しているところもあるようですが、四日市はそれではやっていけませんので、全員が兼務しつつ3班制で勤務しています。応援で部隊を派遣したときには2交代制になります。出向で人が抜ける分、充足は下がりますが、それは仕方ないと考えています。

Q 仮に四日市が全国から応援を受け入れることになった際、四日市消防本部の指揮能力は、対応する能力は大丈夫でしょうか。

A 消防本部の指揮能力は限定的で問題です。四日市では災害時受援計画を策定して、受援を重視しているけれども、課題だと思っています。